どうも鉄人です。
前回の第1章の続編、第2章のレビュー記事です。
こちらの本のレビュー記事です。
概要
- 日本人に浸透している「住宅信仰」への警笛を鳴らす章。
- 歴史を振り返り、住宅信仰が根付いた経緯の解説、住宅広告の罠など、業界出身者の立場から“印象操作の手の内”を紐解いている。
- 50~60代が持つ住宅へのイメージを踏襲し、これまでの感覚で家を買うことをやめてほしいという筆者からのメッセージが強い章。
建物の価値は下がる、土地の価値は下がらない
- 建物は経年劣化により価値が下がる
- タワマンは狭い土地の上にたくさんの居住面積が生まれる(=容積率がかなり大きい)
- ゆえに、8割以上を建物の購入代金として支払うケースが多い(=価値が下がっていく部分お金を払う=それって本当に資産形成?)
タワーマンションは割安はウソ?
- 通常、外壁補修では足場を組む。タワマンは、足場が組めず、特殊な方法で補修作業を行う。(=メンテナンスが割高)
- エレベーターは高層階まで高速で移動する必要がある。→通常のマンションについているものよりも高性能=高価(1基あたり数千万円~1億)
- 専属のコンシェルジュ、豪華なエントランス、ゲストルームも設置されている
- 上記は、入居者が支払う管理費で運営される(一見無料であるが実は有料)
とある人の投資戦略事例の解説
- 築5年~10年の中古マンションのみ買う。
- 購入後5年で必ず売る(長期譲渡所得となるため税制で有利)
- 駅近、徒歩5分以内に買う
- 既に入居者がいる物件を買う(入居者がいる物件→すぐに家賃収入が発生する点はメリット。デメリットは変な住民が住んでいても追い出せない、物件を確認できない点。デメリットが大きく考えられ、相場より安く取引される傾向。)
一般人が陥る“大手が最強”はウソ?
- マンション施工に関しては、大手ゼネコンよりも中堅ゼネコンのほうが質が良い場合が多い
- ゼネコン業界ではマンション工事は儲からない。
- 技術力よりもコストがものをいう工事が多い
- ゆえに、大手はやりたがらない⇒付き合いで仕事を受けた結果、人手不足で手抜き工事が発生するケースも。
- 大手は優秀な所長を道路・橋梁・トンネル・超高層ビルの工事に配置することが多い。
- 中堅は儲けが小さい仕事でも丁寧に対応し、稼ぎを増やす必要がある。(中堅の方がマンション専門の所長が揃っている。)
土地の価値は駅近で決まるわけではない
- 土地の価値は地質で決まる
- 地歴を確認⇒昔は田んぼだった土地は地盤が好ましくない
- 高台の方が土地の価格は高い(高級住宅地と言われるところはほぼほぼ高地に位置している。)
- 地盤が良くて高地にある=災害に強い
- 地盤の良し悪しはネットで簡単に調べることが出来る。
「マイホーム=資産形成」という思想が広まった背景
- 戦後の都心部=ほぼ賃貸
- 高度経済成長で大量の人が都心部へ移住⇒住宅不足
- 国が公団を設立しニュータウンと呼ばれる団地が乱立(1955年)
- 都市計画法が制定(1968年)され、市街化区域の開発が進み都心部へ通勤する人のためのベッドタウンができる(例:東京の多摩ニュータウン、大阪の千里ニュータウンなど)
- 賃貸だけでは需要に対応できず、おまけに国や自治体の予算でまかないきれない状況が発生
- 高度経済成長で勤労者の収入は上がっている時代、家を所有する時代へのかじ取りを国が行う(=住宅ローンという仕組みを整備)
- 結果、家を買う人が続出。勤労者は終身雇用を前提に非常に勤勉に働くようになったという。
- その後も都心部への人の流入は増加、住宅需要はうなぎのぼり⇒住宅を購入していた人は大きな含み益を得ることとなった。
- こうしてマイホーム=資産形成という概念が国民に浸透した
- しかし、実態は高度経済成長の途中段階、プロセスでしかなく、すでにマイホームが資産形成となる時代は終了している
なぜマイホームに夢を抱くか?
- 不動産会社が仕掛ける絶妙な広告には夢を抱く仕掛けが多い
- マンション広告に付随する謎のポエム(会社名とポエム本文が具体的に出されていて、筆者が皮肉を込めて軽くディスってます。笑)
- ポエムはライターが書いた壮大なキャッチコピー(ライターの人件費は物件に上乗せされる。)
- “3駅から好アクセス”が売りの物件=どの駅からも近くない可能性がある。(徒歩5分であればそっちを前面に押し出す。)など
- 販売時期を分ける手法はよくとられる⇒第1期分譲はユーザーがどの程度興味を示しているのかを知るための分譲、その結果を踏まえて第2期分譲では価格を変える。
- 第1期で予定していた物件数が売れなかった場合⇒第1期第二次分譲としてさらに販売時期を細分化する。「大好評!第1期第一次分譲完売!」と書くことで売れてる感が出る。(実際は第1期分譲で売り切れなかっただけというケースが多い。)
- 有名な土地名を出す⇒イメージを売っている
再販目的であれば売れ残り(完成在庫)の物件は有利
- 自分の目で見て物件を確認できる(完成在庫の特権)
- すでに売れている部屋のリセールバリューとほぼ同じ相場で再販が可能
- 買うとき⇒売れのこりは値引きなど安くなる
- 売るとき⇒売値を決めるうえで売れ残っていた物件かどうかは関係がない
モデルルームの魔法
- 置かれているベッドなどは極端に小さいものを置いて部屋を広く見せる工夫がされている場合が多い
- 実際に住む部屋ではない(=実際に住む間取りと異なる可能性がある)
- 風通し、日当たりなどの雰囲気はわからない
- 建つ前から購入の契約をすることになる(実際に住む家を見ないで決める)
- 昔のように物件価格の相場が上がっていく時代であればいち早く購入権を得たいというのは理にかなっている
- 物件価格上昇に伴う含み益が期待できない現代で住む家を確認せずに買うのはいかがなものか
感想
総じて住宅購入への警笛、ネガティブなニュアンスを含んだ内容だった印象です。
- 「みんな買っているから」
- 「資産形成になるから」
上記のような価値観での購入者が大半であることを前提に書かれていることから、この本のターゲットがそのような人たちであるということがうかがえました。
業界出身ならでは!な情報が組み込まれており面白かった。
たとえ家を買うにしても、知らないだけで損するだろうなということが盛りだくさんで、なにをするにも知っているか知らないかは大きな違いになってくるなという印象。
この章で述べられている話はあくまで本を読んで得られる知識。(中でもぶっちゃけている方なのかもしれませんが。)
これらの情報の上位階層には、専門家から対面でのみ聞ける情報(=顧客という立場では決して聞き出せない情報)があり、その情報の多さがその人の価値を高める時代なのだろうな・・・と考えされられた章でした。
第三章へ続くーーーー!
ほなほな